Microsoft、OpenAIの取締役会から撤退し、AI業界に新たな風

MicrosoftはOpenAIの取締役会オブザーバーシートを放棄し、新たなパートナーシップ戦略を模索。OpenAIとThrive GlobalはAI健康コーチング企業を設立し、Stability AIはSD3モデルを無料提供。AI業界の最新動向を追う。

Microsoft、OpenAIの取締役会オブザーバーシートを放棄

Microsoftは、OpenAIの取締役会のオブザーバーシートを即時に放棄することを発表しました。これにより、MicrosoftはOpenAIの内部から一歩引く形となります。

背景とその意味

Microsoftは、OpenAIが過去8ヶ月間で「大きな進展」を遂げたと評価し、内部視点が必要なくなったとしています。この動きは、2023年11月にサム・アルトマンのCEO復帰とOpenAIのガバナンス再編にMicrosoftが重要な役割を果たした後に行われました。当時、Microsoftとサティア・ナデラは、OpenAIの運営に一定の影響力を持つことを目指していました。

Microsoftはオブザーバーシートを通じて一部の影響力を得ていましたが、OpenAIはその後、ラリー・サマーズや元NSA幹部のポール・ナカソネといった有力者を取締役に迎え、取締役会を再構築してきました。Appleのフィル・シラーがオブザーバーシートを得る可能性も噂されましたが、OpenAIはオブザーバーシートの概念を完全に廃止しました。

新しいアプローチとその影響

OpenAIは、戦略的パートナーや投資家に対して「新しいアプローチ」を模索しており、取締役会に席を与えずに情報を提供する方法を検討しています。MicrosoftやApple、Khosla VenturesやThrive Capitalといった主要パートナーや投資家は、現在ではNextdoorの元CEOであるサラ・フライアーとの定期的な会議を通じて情報を得ることになります。この再編により、Microsoftは潜在的な反トラスト問題を回避し、OpenAIは大手テクノロジー企業の監視なしに独自の運営を進めることができます。

OpenAIとThrive Global、新しいAI健康コーチング企業を設立

新しい健康革命の幕開け

OpenAIとThrive Globalが共同で設立する新たな企業「Thrive AI Health」は、AIを活用した健康コーチングサービスを提供します。このコーチは、個別の医療データや日常の習慣に基づいて、リアルタイムでカスタマイズされたアドバイスを提供し、睡眠、食事、運動、ストレス管理、社会的つながりといった「ビッグファイブ」を改善することを目指します。

Thrive AI Healthの特徴

  • 資金提供: OpenAIスタートアップファンドとThrive Globalが共同で資金提供

  • 提供方法: 健康コーチはモバイルアプリとして提供され、Thriveの企業向けサービスにも組み込まれる予定

  • 長期記憶: AIコーチは長期的な記憶機能を持ち、ユーザーの変化を継続的に追跡

  • 経営陣: 元Googleのデカルロス・ラブがThrive AI HealthのCEOに就任

意義と期待される効果

このAI健康コーチは、個人トレーナーやライフコーチを利用できるのは一部の富裕層に限られている現状を打破し、慢性疾患対策に新しい風を吹き込むことが期待されています。AIが個々のニーズに基づいた行動変革を支援することで、健康管理の新しいアプローチを提供します。

Stability AI、SD3をほとんどのユーザーに無料で提供

新しい「コミュニティライセンス」の導入

Stability AIは、AIモデルの利用を許可する新しい「コミュニティライセンス」を導入し、ほとんどのユーザーに無料で提供することを発表しました。個人および年商100万ドル未満の小規模企業に対して商業利用を無料とし、大規模な商業ユーザー(年商100万ドル超)のみがエンタープライズライセンスの対象となります。

コミュニティの声に応える動き

Stability AIは、「オープンソース」アプローチからの逸脱に対するユーザーからの批判を受け、このライセンスを導入しました。従来通り、非商業利用(研究者、学生、ホビーストなど)は完全に無料で、画像作成の制限もなくなりました。Stabilityのチームは、コミュニティからの指摘を受けてSD3 Mediumの品質改善にも取り組んでいます。

影響と意義

この新しいライセンスにより、LLM(大規模言語モデル)が注目を集める中、AI画像生成の普及が促進されることが期待されています。より緩やかなライセンスにより、画像生成を中心に据えたAI製品の開発が奨励され、AI分野でのイノベーションが加速することが期待されています。また、Stability AIは最近のリーダーシップの変更と資金調達(深刻な資金不足に直面していました)の後、ルーツに戻っていることにも注目すべきです。